【ソムメモ】ワインのペアリングとは?
ペアリングについて
昨今、「ペアリング」が注目を浴びています。トレンドを押さえた楽しみ方というイメージがありますが、実際は1980年にパリのレストラン『アラン・サンドラス』で生まれた言葉だとされています。「コース料理にボトル一本」というオーダー方法が、それまでの常識でした。しかしヌーベル・キュイジーヌの鬼才サンドラス氏は、「一皿ごとにワインを合わせる」という新しい風をレストラン業界に吹き込んだのです。
日本においては、2010年頃から、ワインペアリングを提供するレストランが増えました。現在にいたっては、ワインペアリング専門のレストランというのも珍しくありません。ミシュランで星を獲得するお店も続々と登場し、ワインペアリングはますます盛り上がってきています。
ワインの基礎知識:ペアリングとは
ペアリングは「一皿の料理に一つのワインを合わせる」という意味です。コース料理のお店にいくと、アミューズや前菜から料理がスタートし、スープや魚料理、肉料理、デザートという流れで料理が提供されます。その料理一品ごとにワインを合わせて楽しむのが、ワインペアリングという楽しみ方。
基本的にはペアリングはレストランが提供するサービスの一つでしたが、時代を経るにつれ、ペアリングを楽しむ食事のあり方が浸透してきました。そのためレストランに限らず、相性の良いもの同士を組み合わせる、という捉え方が一般的になっています。
ペアリングとマリアージュの違い
ペアリングという言葉より、マリアージュという言葉の方が聞き慣れているという方も多いかもしれません。ペアリングとマリアージュ、基本的にはどちらの言葉も「料理とワインを合わせる」という意味合いであるため、厳密にどちらの言葉を使うのが正しいのかということはありません。
イメージとして「ペアリング」は、材料や産地、食感、温度帯などのロジックを用いた一つの料理と一つのワインの合わせ方。一方で「マリアージュ」は、食事の中で出てきた料理とワインを総合的に捉え、食事全体としての完成度がどうだったのかを考える際に用いることが多いでしょう。マリアージュに関してはこちらの記事で解説しています。
●ペアリング…料理やワインの個々の要素や性質にフォーカスする
●マリアージュ…全体の性格や個性、その食事の雰囲気を大きく捉える
このような考え方の違いがあります。ただ、これはあくまでイメージとしての捉え方なので、どちらの言葉を使っても間違いということではないでしょう。
料理とどのように組み合わせるのか
料理とワインのペアリングの考え方は、ソムリエやシェフによって、さまざまあります。人生の数だけペアリングの数があるといっても過言ではありません。ペアリングというのは奥深いもので、同じワインであってもTPOによって合わせる料理は異なるうえ、食す側がどんな気持ちで味わうかによっても組み合わせは無限大に存在します。
大切なのは、どんなペアリングであっても、一番の目的は「料理とワインに相乗効果を起こすこと」だということです。この相乗効果を起こすためには、主に3つの「かく」を意識するのがポイントです。
その3つとは、「味覚」「触覚」「品格」です。
「味覚」とは、主に味わいと香りのこと。フレーバーといわれるように、口に含んだものの香りが鼻から抜けることで、味覚に重要な影響を与えます。鼻が詰まっている時に味が分からなくなったり、フレーバーがないと美味しく感じることができなかったりするのは、そのためでもあります。
「触覚」とは、口に含んだときの質感と温度を指します。同じ食材でもとろみがある料理なのか、さらっとした料理なのかは重要な指標になります。また、口の中で感じる温度も重要な触覚です。このポイントを押さえることで、より洗練されたペアリングとなります。
最後の「品格」とは、食材やワインの価格と、料理の調理法、ワインの生産方法のことです。調理に手間や時間を多くかけているほど料理の格は高くなりますし、ブドウの栽培やワインの醸造にコストをかけているほど、ワインとしての格は上がっていきます。
この3つの「かく」を意識すれば、誰でも最高のペアリングを生み出すことができます。