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[2024年最新]ソムメモ【第12回 ジュラ・サヴォワ地方】ソムリエ完全解説

[2024年最新]ソムメモ【第12回 ジュラ・サヴォワ地方】ソムリエ完全解説

はじめに

ジュラ地方とサヴォワ地方は、フランス東部に位置する魅力的なワイン産地です。ジュラ地方はブルゴーニュとスイスの間に広がり、ジュラ山脈の複雑な地形と多様な気候条件により、非常に個性的なワインが生産されています。特にヴァン・ジョーヌやヴァン・ド・パイユといった特殊なワインは、独自の風味でワイン愛好家から高く評価されています。一方、サヴォワ地方はアルプス山脈の麓に位置し、スイスとイタリアとの国境に接しています。冷涼な気候と山々に囲まれた地理的特性により、新鮮でさわやかな白ワインが主に生産され、この地域のワインはその独特な風味と高品質から多くのワイン愛好家に愛されています。本記事では、ソムリエ試験対策として、ジュラ地方とサヴォワ地方のワインに関する重要な情報を詳しく解説します。


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目次

ジュラ地方

1.概略

2.主要ブドウ品種

3.主要A.O.C.

4.ヴァン ジョーヌ・ヴァン ド パイユ

サヴォワ地方

5.概略

6.ブドウ品種と産地

7.まとめ

ジュラ地方

ジュラ

1.概略

ジュラ地方はフランスの東部、ジュラ山脈の西に位置するワイン産地であり、その規模はフランスで最小のワイン産地の一つです。ジュラ地方はブルゴーニュの西、スイスの東に挟まれ、木々に覆われた丘陵地帯とジュラ山脈の曲がりくねった地形が特徴です。スイスのジュラ地方とは近接しているものの、明確に異なる地域です。

2020年の統計によると、ジュラのブドウ栽培面積は約2,200ヘクタールで、年間のワイン生産量は約90,000ヘクトリットルです。ジュラ地方のブドウ畑は南北に約80キロメートルの狭い帯状の土地を形成しており、総面積は徐々に増加していますが、フィロキセラがこの地域のブドウ畑を壊滅させる前の2世紀前の10分の1未満の面積しかありません。

ジュラ地方のワインは5つの主要なアペラシオン(原産地呼称)で販売されています。その中でも数量的に重要なのはアルボワとコート・デュ・ジュラです。アルボワの町は細菌学の父と呼ばれるルイ・パストゥールが幼少期から過ごした場所であり、彼はアルコール発酵の解明や低温殺菌など、後のワイン醸造学に大きな功績を残しました。アルボワには、彼が研究のために使用したブドウ畑「クロ・デ・ロジエール」も保存されています。

ジュラ地方の気候は半大陸性気候であり、暖かく比較的乾燥した夏と寒い冬があります。ジュラ地方はワインだけでなく、A.O.P.チーズの中で最も生産量が多い加熱圧搾のコンテ(Comté)や、8月15日から3月15日までの期間限定で生産されるウォッシュタイプのモンドール(Mont-d’Or)も有名です。

ジュラ紀はジュラ地方にちなんで名付けられました。この地域の石灰岩山脈は、1億4,500万年前から2億年前にかけての地質学的な発展を代表しています。したがって、ここでの主要な土壌タイプはジュラ紀の石灰岩と泥灰土です。

ジュラの最も特徴的なアペラシオンの一つである村、レトワールの名前は、その石灰岩豊富な土壌を特徴付ける星形の海洋化石に由来すると言われています(エトワールはフランス語で「星」を意味します)。シャブリと上ロワール渓谷も同様の地質構造の上に建てられています。

ジュラ地方の気候はコート・ドールや南アルザスに似ており、暖かく比較的乾燥した夏と寒い冬があります。谷と丘陵地の位置による気候の変化は非常に顕著です。ジュラ地方の東部の山岳地帯は1,350メートル以上の高さに達しますが、主要なブドウ栽培地帯は西部のやや低地に限定されており、平均標高は300メートルです。ジュラのブドウの大部分は、涼しい気候で日照を最大限に活用するために南向きの斜面に植えられています。

このように、ジュラ地方はその独特な地形と気候、歴史的背景、そして多様なワインとチーズの生産によって、他の地域とは一線を画す魅力を持っています。

2.主要ブドウ品種

ジュラ地方のワインには、5つの主要なブドウ品種が使用されています。これらは、3つの伝統的な品種と2つの比較的新しい品種に分類されます。

白ブドウ品種

サヴァニャン(Savagnin)
地元では「ナチュレ」として知られるこの品種は、地域のすべてのアペラシオンで使用されます。サヴァニャンは独特のヴァン・ジョーヌ(「黄色ワイン」)の原料です。これらは長寿命で、フロール酵母の層の下で樽熟成される辛口のワインです。ヴァン・ジョーヌはアルボワ(アルボワ・ピュピランを含む)、レトワール、コート・デュ・ジュラのアペラシオンで作られますが、最も優れたものはシャトー・シャロンAOPで作られます。

シャルドネ(Chardonnay)
シャルドネはジュラの総ブドウ畑の約半分を占めています。地元では「メロン・ダルボワ」や「ガメ・ブラン」として知られており、新鮮でフルーティーな現代的なスタイルのワインを作るのに最もよく使われます。シャルドネは、フランスの他の地域と同様にジュラでも広く栽培されるようになりました。

黒ブドウ品種

プルサール(Poulsard / Ploussard)
プルサールはジュラの原産の赤用品種で、地域の植栽の約20〜25%を占めます。この品種は主に辛口の赤ワインに使用されますが、スパークリングのロゼワインにも使われます。アルボワやピュピランのコミューンでは「プルサード」として知られています。

トルソー(Trousseau)
トルソーもジュラ原産の赤用品種で、適切に成熟するためには高い日照量が必要です。ジュラのブドウ畑の最も温暖な5%にのみ植えられており、主にアルボワ周辺で栽培され、少量の品種ワインを生産します。

ピノ・ノワール(Pinot Noir)
ピノ・ノワールは15世紀頃にジュラに渡来したとされています。この品種は、他のフランスのワイン産地でも広く栽培されており、ジュラでも高品質な赤ワインの生産に貢献しています。

その他のワインスタイル

ジュラ地方は独特なヴァン・ジョーヌに加えて、干しブドウから作られる甘口のヴァン・ド・パイユでも伝統的に知られています。これらはシャトー・シャロンを除く同じアペラシオンの下で生産されています。

また、ジュラ地方では18世紀以来スパークリングワインも作られており、現在は1995年に導入されたクレマン・デュ・ジュラのアペラシオンの下で、約210ヘクタールのブドウ畑から生産されています。

これらの多様なブドウ品種とワインスタイルは、ジュラ地方のワインに独特な個性と魅力を与えています。

3.主要A.O.C.

ジュラ地方には、独特の特徴を持つワインが生産されるいくつかのAOC(原産地呼称)があります。以下に主要なAOCとその特徴を表と共に紹介します。

AOCリストと特徴

AOC名(読み方)タイプRouge(赤)Rosé(ロゼ)Blanc(白)Jaune(黄色)Paille(藁)
Arbois / Arbois Pupillin(アルボワ / アルボワ・ピュピラン)赤、ロゼ、白、黄色、藁
L’Étoile(レトワール)白、黄色、藁
Château-Chalon(シャトー・シャロン)黄色
Côtes du Jura(コート・デュ・ジュラ)赤、ロゼ、白、黄色、藁

各AOCの詳細

Arbois / Arbois Pupillin(アルボワ / アルボワ・ピュピラン)

  • 生産量の70%を赤ワインが占めています。
  • ピュピヤン村で収穫、醸造されたワインは「Arbois Pupillin」とすることが許されています。

L’Étoile(レトワール)

  • レトワール=星の由来は、村を放射状に取り囲む5つの丘が星のように見えることや、土壌に星の形をした化石が見られるためです。

Château-Chalon(シャトー・シャロン)

  • ヴァン・ジョーヌ(黄色ワイン)のみが生産される非常に限定されたAOCです。

Côtes du Jura(コート・デュ・ジュラ)

  • 多様なタイプのワインが生産されるAOCであり、赤、ロゼ、白、黄色、藁ワインが含まれます。

その他の重要なAOC

Crémant du Jura(クレマン・デュ・ジュラ)

  • タイプ: 発泡性(rB)
  • 赤(r):ピノ・グリ、ピノ・ノワール、プルサール、トルソーが50%以上。
  • 白(B):シャルドネ、ピノ・ノワール、トルソーで70%以上。
  • 瓶内二次発酵によって造られ、澱と一緒に瓶内で最低9カ月熟成させ、ティラージュから出荷までの期間は最低12カ月です。

Macvin du Jura(マクヴァン・デュ・ジュラ)

  • タイプ: V.D.L.(甘口強化ワイン)(RrB)
  • 赤(Rr):プルサール、トルソー、ピノ・ノワール。
  • 白(B):シャルドネ、サヴァニャン。
  • 糖度170g/l以上のブドウを収穫し、その果汁または発酵の初期段階でフランシュ・コンテ産のオー・ド・ヴィーを添加し、少なくとも10カ月オーク樽で熟成。最終製品のアルコール度数は16〜22%です。

Marc du Jura(マール・デュ・ジュラ)

  • 2015年に承認されたオー・ド・ヴィーのAOCで、ジュラ地方のAOCワインの搾り滓から造られる蒸留酒です。
  • 最大600リットルの木樽で少なくとも24カ月熟成させ、最低アルコール度数は40%です。

これらのAOCは、ジュラ地方のワイン生産の多様性と独自性を象徴しており、それぞれが異なる特性と魅力を持っています。

4.ヴァン ジョーヌとヴァン ド パイユ

ジュラ地方には、独特の醸造法と味わいを持つ二つの特別なワインがあります。それがヴァン・ジョーヌとヴァン・ド・パイユです。これらのワインは、その特有の風味と製造方法で知られています。

ヴァン・ジョーヌ(Vin Jaune)

ヴァン・ジョーヌの醸造法

品種
主にサヴァニャンを使用し、白ワインとして醸造されます。(A.O.C.アルボワやコート・デュ・ジュラでは例外的に他の品種も認可されています)

熟成
はオークの小樽に詰められ、ウィヤージュ(Ouillage)(補酒)せずに、収穫から少なくとも6年目の12月15日まで熟成されます。その間の最低60カ月間は産膜酵母(フロール酵母)下で熟成されます。

ボトリング
ワインはクラヴラン(Clavelin)と呼ばれる容量620mLのボトルに詰められます。

出荷
収穫から7年目の1月1日以降に消費者向けに出荷が可能となります。

味わいのスタイル
ヴァン・ジョーヌは非常に個性的で、長い熟成期間による深みと複雑さを持つ辛口の白ワインです。シャトー・シャロンで偶発的に生まれたと考えられ、ソトロンと呼ばれる芳香成分により、アーモンド、ヘーゼルナッツ、キャラメル、シナモン、ハチミツ、カレーなどの複雑なフレーバーが特徴です。骨太で濃厚な風味があり、熟成によるまろやかさが感じられます。

ヴァン・ド・パイユ(Vin de Paille)

ヴァン・ド・パイユの醸造法

品種
認可されている品種はサヴァニャン、シャルドネ、プルサール、トルソーの4種類です。

乾燥
ブドウは藁、またはスノコの上に並べるか吊り下げ、風通しの良い場所で最低6週間乾燥させます。

糖度
圧搾時の糖度は320g/Lを超え、420g/L未満でなければなりません。

熟成
少なくとも収穫から3年目の11月15日まで熟成させ、そのうち最低18カ月間は木樽による熟成を行います。

生産地
ローヌ渓谷地方のエルミタージュでも若干生産されています。

味わいのスタイル
ヴァン・ド・パイユは非常に甘口で、濃厚な果実味とリッチなテクスチャーが特徴です。乾燥させたブドウからくる凝縮感があり、蜂蜜やドライフルーツのような深い甘みが感じられます。

これらの特別なワインは、ジュラ地方の醸造技術と自然環境が生み出すユニークな風味を持ち、他の地域では味わえない独特の魅力を持っています。

サヴォワ地方

サヴォワ

5.概略

サヴォワ地方はフランス東部、スイスとイタリアとの国境に接し、アルプス山脈の麓に位置するワイン産地です。レマン湖の畔からローヌ川に沿い、ブルジェ湖の周辺を経て、南はシャンベリーの南東に位置するコンブ・ド・サヴォワと呼ばれる丘陵地帯まで、約2,200ヘクタールのブドウ畑が点在しています。

2020年の統計によると、サヴォワ地方のブドウ栽培面積は約2,080ヘクタールで、年間のワイン生産量は約122,000ヘクトリットルです。サヴォワ地方のブドウ畑は標高250~500メートルの斜面に位置し、気候は海洋性気候で、斜面の向きや標高により大陸性気候や地中海性気候の影響を受ける場所もあります。

2014年から、A.O.C.ヴァン・ド・サヴォワ内で瓶内二次発酵で造られた発泡性の白ワインを「クレマン」と表記することが可能となりました。

サヴォワ地方はその地理的特性と気候から、主に新鮮でさわやかな白ワインが生産されており、地域のワインラベルにはスイスやサヴォワの旗に見られる白十字の赤背景がしばしば描かれています。

6.ブドウ品種と産地

サヴォワ地方のワインはそのほとんどが白ワインで、地域の冷涼な気候のため赤ワイン用の品種は熟すのに苦労します。以下は、サヴォワ地方で栽培される主なブドウ品種と産地の概要です。

白ブドウ品種

ジャケール(Jacquère)
最も広く栽培されている白ブドウ品種で、高い収量を誇ります。フレッシュでクリスプな白ワインを生産します。

アルテス(Altesse)
地元ではルセット(Roussette)として知られ、サヴォワの上質なワインを生産するために使用されます。特に、ルセット・ド・サヴォワやルセット・ド・ビュジェのアペラシオンで知られています。

ルーサンヌ(Roussanne)
地元ではベルジェロン(Bergeron)として知られ、シニン・ベルジェロンワインを独占的に生産するために使用されます。

シャルドネ(Chardonnay)
サヴォワでも増加している品種で、スティルワインおよびスパークリングワイン(特にビュジェ・セルドンのアペラシオン)の生産に使用されます。

黒ブドウ品種

モンドゥーズ(Mondeuse)
サヴォワの際立った赤ワイン用品種で、深い色合いとペッパリーな風味、独特の苦味が特徴です。

ガメイ(Gamay)
主に品種ワインに使用され、ボジョレーやブルゴーニュのものよりも軽いスタイルのワインを生産します。

ピノ・ノワール(Pinot Noir)
他のフランスのワイン産地でも広く栽培されており、サヴォワでも高品質な赤ワインの生産に貢献しています。

主要なアペラシオン

サヴォワ地方には多くのアペラシオンがありますが、その中でも主要なものは以下の通りです。

A.O.C. Seyssel(セイセル)
タイプ: 白(辛口、半辛口)、発泡性白ワイン
認可品種: アルテス100%(白)、モレット主体(発泡性白ワイン)
モレットのみから造られる辛口白ワインは「Seyssel Molette」を名乗ることができます。

A.O.C. Bugey(ビュジェ)
タイプ: 赤、ロゼ、白(辛口、発泡性白ワイン)

サヴォワ地方のワインはその多様性と独自性から、地元の人々や観光客に愛されています。しかし、サヴォワ地方の隔離された立地やフィロキセラ禍以来の限られたブドウ畑面積のため、サヴォワワインがフランス国外に出回ることはあまりありません。

7.まとめ

ジュラ地方とサヴォワ地方は、フランス東部の独特なワイン産地です。それぞれの地域は地理的特性、気候、ブドウ品種、ワインのスタイルによって、他のワイン産地とは一線を画しています。

ジュラ地方

ジュラ地方はブルゴーニュの西、スイスの東に位置し、木々に覆われた丘陵地帯とジュラ山脈の曲がりくねった地形が特徴です。主要なブドウ品種にはサヴァニャン、プルサール、トルソー、シャルドネなどがあります。特に、独特のヴァン・ジョーヌ(黄色ワイン)とヴァン・ド・パイユ(甘口ワイン)が有名です。

主要なAOCは、アルボワ、レトワール、シャトー・シャロン、コート・デュ・ジュラなどがあり、それぞれのAOCで生産されるワインは多様な風味と特性を持っています。

サヴォワ地方

サヴォワ地方はスイスとイタリアの国境に接し、アルプス山脈の麓に位置します。レマン湖やローヌ川、ブルジェ湖の周辺に約2,200ヘクタールのブドウ畑が点在しています。主要なブドウ品種にはジャケール、アルテス、ルーサンヌ、シャルドネ、モンドゥーズなどがあります。白ワインが主で、フレッシュでさわやかな味わいが特徴です。

主要なAOCには、セイセルやビュジェがあり、これらの地域では独特の辛口や発泡性のワインが生産されています。

ジュラ地方とサヴォワ地方のワインは、その地理的特性と気候により、非常にユニークな風味と品質を持っています。ソムリエ資格に挑戦する皆さんにとって、これらの地域のワインについて深く理解することは、大きな武器となるでしょう。特にヴァン・ジョーヌやヴァン・ド・パイユ、そしてサヴォワの多様な白ワインは、他のどの地域のワインとも異なる特徴を持っており、ソムリエ試験でも重要なポイントとなるはずです。しっかりと学び、この知識を活用して、試験に臨んでください。成功を祈っています。


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