[2024年最新]ソムメモ【第11回 ローヌ渓谷地方】ソムリエ完全解説
はじめに
ローヌ渓谷地方は、フランス南東部に位置し、ローヌ川沿いに広がる広大なワイン産地です。その多様な気候条件と土壌により、非常に個性的で質の高いワインが生産されており、世界中のワイン愛好家から高く評価されています。ローヌ川流域の美しい自然景観と歴史的な村々も、この地域の魅力をさらに引き立てています。本記事では、ソムリエ試験対策として、ローヌ渓谷地方のワインに関する重要な情報を詳しく解説します。
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目次
1. 概略
ローヌ渓谷地方は、フランス南東部に位置し、ローヌ川沿いに広がる広大なワイン生産地です。この地方は、ブドウ栽培面積約6万6000ヘクタールを誇り、フランス第2位のA.O.C.ワインの産地となっています。
ローヌ川はスイス・アルプスから発し、レマン湖を経由してフランスに入った後、500kmを超える距離を流れ下り、地中海へと注ぎます。ワイン産地はローヌ川流域に広がり、北はヴィエンヌから南はニームまでの南北250kmにわたります。
ローヌ渓谷地方は、北部ローヌと南部ローヌに分かれています。この2つの地域は、地理的な特徴やブドウ品種、ワインの質と量において大きな違いがあります。北部と南部の間には、ヴァランスとモンテリマールの間にほとんどブドウが栽培されていない約40kmのギャップがあり、これが自然な境界線を形成しています。
気候風土
北部ローヌ(ヴィエンヌからヴァランスまで)
- 半大陸性気候
- 急峻な斜面の渓谷を形成
- シラー100%もしくは主体の赤ワインが中心
- ヴィオニエ、マルサンヌ、ルーサンヌを使った白ワインも生産
- 地理的に小規模なアペラシオンが多く、質の高いワインが生産される
- 有名なAOCには、コート・ロティ、エルミタージュ、クロズ・エルミタージュ、コルナス、サン・ペレー、サン・ジョセフがある
南部ローヌ(モンテリマール以南)
- 地中海性気候
- なだらかな平地や丘陵地
- グルナッシュを主とした複数品種をブレンドした赤ワインが多い
- シラー、ムールヴェードルもブレンドに使用され、GSM(グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル)のブレンドが特徴
- 地理的に広大で、多様なAOCが存在
- 有名なAOCには、シャトーヌフ・デュ・パプ、ジゴンダス、ヴァケイラス、リラック、タヴェルがある
ローヌ渓谷には、北から南に吹き抜けるミストラルと呼ばれる強風があり、風速30m/秒を超えることもあります。この風は年間120~160日間も吹くとされ、ブドウ栽培に影響を与えています。
土壌と気候の違い
北部ローヌは花崗岩の急斜面で、大陸性気候の影響を受ける一方、南部ローヌは岩や砂地の平地で、地中海性気候の温暖な冬を享受しています。この違いが、地域ごとのブドウの育成とワインのスタイルに大きな影響を与えています。
名声と生産量の違い
北部ローヌは古くから高く評価されている名門の産地が多く、エルミタージュやコート・ロティといった名前が知られていますが、生産量は渓谷全体のわずか5%に過ぎません。これに対し、南部ローヌは95%のワインが生産されており、シャトーヌフ・デュ・パプのような著名なAOCも存在しますが、多くは地域特定のない一般的な名称で生産されています。
北部と南部の間には、全体の統一感を保つ要素として、地域全体に広がるコート・デュ・ローヌのアペラシオンが存在します。これは北のヴィエンヌから南のアヴィニョンまでの171のコミューンをカバーし、赤、ロゼ、白ワインが生産されています。
2.主要ブドウ品種
ローヌ渓谷地方のワインは、その多様なブドウ品種に基づいて独特な風味とスタイルを持っています。ここでは、主要なブドウ品種とその特徴について紹介します。
赤ワイン用ブドウ品種
シラー (Syrah)
- 北部ローヌ: シラーは北部ローヌを代表する赤ワイン用ブドウ品種で、100%シラーで作られることが多いです。この品種は力強く、スパイシーで濃厚なワインを生み出します。特にコート・ロティやエルミタージュのワインは、その深い色合いと複雑な風味が特徴です。
- 南部ローヌ: シラーは他の品種とブレンドされることが多く、グルナッシュやムールヴェードルと組み合わせることで、バランスの取れた複雑なワインが生まれます。
グルナッシュ (Grenache)
- 南部ローヌ: グルナッシュは南部ローヌの主要な赤ワイン用ブドウ品種で、豊かな果実味と高いアルコール度数が特徴です。この品種はシラーやムールヴェードルとブレンドされ、風味豊かでスパイシーなワインを作り出します。
ムールヴェードル (Mourvèdre)
- 南部ローヌ: ムールヴェードルはグルナッシュやシラーとブレンドされることが多く、タンニンが豊富で深い色合いと複雑な風味を持つワインを生み出します。特にシャトーヌフ・デュ・パプなどの高級ワインに使われることが多いです。
白ワイン用ブドウ品種
ヴィオニエ (Viognier)
- 北部ローヌ: ヴィオニエは特にコンドリューの白ワインで有名です。この品種はアロマティックで華やかな香りが特徴で、桃やアプリコット、フローラルなノートが感じられます。単一品種で高品質な白ワインを生み出します。
マルサンヌ (Marsanne)
- 北部および南部ローヌ: マルサンヌはルーサンヌとブレンドされることが多く、豊かな風味とバランスの取れた酸味が特徴です。蜂蜜やナッツ、トロピカルフルーツの香りが楽しめる白ワインを作ります。
ルーサンヌ (Roussanne)
- 北部および南部ローヌ: ルーサンヌはマルサンヌとともにブレンドされ、複雑でエレガントな風味を持つ白ワインを生み出します。この品種はリンゴや梨、ハーブの香りが特徴で、熟成によってさらに豊かな風味が引き出されます。
ローヌ渓谷地方のワインは、これらの主要なブドウ品種を軸に、多様な風味とスタイルを持っています。それぞれの品種が持つ特徴を活かしながら、地域の気候や土壌との調和を図り、高品質なワインが生産されています。
3.主要A.O.C.
ローヌ渓谷全域の広域AOC
ローヌ渓谷地方全域には、いくつかの広域AOCが存在し、それぞれの地域で生産されるワインの品質と特徴を定義しています。
Côtes du Rhône(コート・デュ・ローヌ)
- タイプ: 赤ワイン (Red)、ロゼワイン (Rosé)、白ワイン (Blanc)
- 備考: ローヌ渓谷全域で生産されるワインの約47%を占める最も一般的なAOCです。広域にわたるため、生産されるワインのスタイルも多様です。赤ワインは主にシラー、グルナッシュ、ムールヴェードルをブレンドしたものが多く、白ワインはマルサンヌ、ルーサンヌ、ヴィオニエのブレンドが一般的です。
Côtes du Rhône Villages(コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ)
- タイプ: 赤ワイン (Red)、ロゼワイン (Rosé)、白ワイン (Blanc)
- 備考: Côtes du Rhôneよりも生産基準が厳しく、特定の村やコミューンで生産されるワインに与えられるAOCです。これにより、より高品質なワインが期待されます。ラベルには村名が記載されることが多く、その地域の特性を反映した風味が楽しめます。
これらの広域AOCは、ローヌ渓谷全域にわたって広がり、多様なワインを生産しています。それぞれのAOCが持つ基準と規定により、ローヌワインの品質と個性が保証されています。
北部ローヌのAOC
ローヌ川沿いのAOC
A.O.C. | タイプ | 品種 | 備考 |
---|---|---|---|
Côte-Rôtie(コート・ロティ) | R | Syrah 80%以上、Viognier | ローヌ渓谷最北端で急峻な斜面にブドウ畑があり、「焼け焦げた丘」の名の通り、日当たりが非常に良い |
Condrieu(コンドリュー) | B | Viognier 100% | |
Château-Grillet(シャトー・グリエ) | B | Viognier 100% | 3haの円形劇場の形をしたブドウ畑。1936年にローヌ渓谷で最初に認定されたA.O.C.の一つ。2011年以降はシャトー・ラトゥールを所有するピノー家が単独所有 |
Saint-Joseph(サン・ジョセフ) | RB | R: Syrah 90%以上、10%まで Marsanne、Roussanne B: Marsanne、Roussanne | ローヌ川右岸の南北約60kmにわたる広大な産地。北部ローヌではクローズ・エルミタージュと並び大きな産地 |
Hermitage(エルミタージュ) | RB | R: Syrah 85%以上、15%まで Marsanne、Roussanne B: Marsanne、Roussanne | 45日以上陰干しして造られるヴァン・ド・パイユ(甘口ワイン)も少量ながらある |
Crozes-Hermitage(クローズ・エルミタージュ) | RB | R: Syrah 85%以上、15%まで Marsanne、Roussanne B: Marsanne、Roussanne | エルミタージュの丘を取り囲む、栽培面積1,768haの広大な産地 |
Cornas(コルナス) | R | Syrah 100% | |
Saint-Péray(サン・ペレー) | B | Marsanne、Roussanne | 瓶内二次発酵の発泡性白ワインはSaint-Péray Mosseuxで、瓶内熟成12ヶ月以上 |
*ローヌ川左岸に位置するAOC: Hermitage(エルミタージュ)、Crozes-Hermitage(クローズ・エルミタージュ)
ドローム川(ローヌ川の支流)沿いのAOC
A.O.C. | タイプ | 品種 | 備考 |
---|---|---|---|
Clairette de Die(クレレット・ド・ディー) | B(発泡)、rB(微発泡) | 瓶内二次発酵: Clairette 100% r: Muscat à Petit Grains、Muscat à Petit Grains Rouge 75%以上 B: Muscat à Petit Grains 75%以上 | 瓶内二次発酵のクレレット・ド・ディーは、9ヶ月以上熟成、残糖15g/l以下。伝統的に用いられるアンセストラル方式の微発泡ワインには「Méthode Ancestrale」の表記が認められ、4ヶ月以上熟成、残糖35g/l |
Crémant de Die(クレマン・ド・ディー) | B(発泡) | Clairette 55%以上 | 瓶内二次発酵方式、12ヶ月以上熟成 |
Coteaux de Die(コトー・ド・ディー) | B | Clairette 100% | クレレット・ド・ディーの生産地域内のブドウから造られる非発泡性ワイン |
Châtillon-en-Diois(シャティヨン・アン・ディオワ) | RrB | R、r: Gamay 75%以上、25%までSyrah、Pinot Noir B: Aligoté、Chardonnay |
北部ローヌのAOCは、それぞれの地域で生産されるワインの品質と特徴を反映しています。各AOCが持つ独自の気候と土壌が、ブドウ品種に特有の風味と個性を与えています。
南部ローヌのAOC
南部ローヌの赤、ロゼワインはグルナッシュやシラーを主体に複数品種をブレンドしたものが多く、白ワインも複数品種をブレンドして作られます。
A.O.C. | タイプ | 備考 |
---|---|---|
Grignan-les-Adhémar(グリニャン・レ・ザデマール) | RrB | 南部ローヌ北端のA.O.C.で、ローヌ川左岸に位置する。2010年にコトー・デュ・トリカスタンから改称 |
Côtes du Vivarais(コート・デュ・ヴィヴァレ) | RrB | グリニャン・レ・ザデマールの対岸、ローヌ川右岸に位置する |
Vinsobres(ヴァンソーブル) | R | 2006年にコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュから独立 |
Rasteau(ラストー) | R、V.D.N.(RrB) | もとはV.D.N.(天然甘口ワイン)のみ認められていたが、2010年に通常の赤がコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュから独立 |
Cairanne(ケランヌ) | RB | 2016年にA.O.C.認定(ローヌ渓谷最新) |
Gigondas(ジゴンダス) | RrB | 1971年にコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュから最初に独立を果たしたA.O.C. |
Vacqueyras(ヴァケイラス) | RrB | ジゴンダスの南に位置する |
Beaumes de Venise(ボーム・ド・ヴニーズ) | R | ヴォクリュ―ズ県の4ヵ村からなるA.O.C. |
Muscat de Beaumes de Venise(ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ) | V.D.N.(RrB) | ヴォクリュ―ズ県の2ヵ村からなるA.O.C. |
Châteauneuf-du-Pape(シャトーヌフ・デュ・パプ) | RB | 13品種が認可されている。南部ローヌを代表するA.O.C.で、オランジュ市とアヴィニョン市を結ぶローヌ川左岸に位置する。A.O.C.名は、ローマ法皇ヨハネス22世が築造させた夏の居城の廃墟が今も残る村の名前に因む。土壌は「白亜紀の石灰質層を覆う砂質の土壌」、「赤い粘土の土壌」、「ローヌ川が運んできた玉石の土壌」の3つに分けられる |
Lirac(リラック) | RrB | ローヌ川を挟んで、シャトーヌフ・デュ・パプの対岸に位置する |
Tavel(タヴェル) | r | グルナッシュを中心にブレンドした力強いロゼワインが造られる |
Ventoux(ヴァントゥー) | RrB | ツール・ド・フランスの山岳ステージでも知られるモン・ヴァントゥの麓に広がる産地 |
Lubéron(リュベロン) | RrB | ヴァントゥーの南、プロヴァンス地方との境界にある産地 |
Duché d’Uzès(デュシェ・デュゼス) | RrB | ニーム市の北に位置し、ガール県の77市町村で構成されるA.O.C. |
Clairette de Bellegarde(クレレット・ド・ベルガルド) | B | Clairette 100%から造られる |
Costières de Nîmes(コスティエール・ド・ニーム) | RrB | ローヌ渓谷で最も南に位置する |
南部ローヌは広大な地域に広がり、多様な気候と土壌条件を持つため、各A.O.C.で生産されるワインのスタイルや風味も非常に多様です。それぞれのA.O.C.が持つ独自の特徴と品質基準により、地域ごとの個性豊かなワインが楽しめます。
4.まとめ
ローヌ渓谷地方は、フランス南東部に位置し、ローヌ川沿いに広がる広大なワイン生産地です。この地方は北部ローヌと南部ローヌの2つのエリアに分かれ、それぞれが異なる気候条件と土壌を持っています。
北部ローヌは急峻な斜面でのブドウ栽培が特徴で、主にシラー (Syrah) を使用した赤ワインが生産されます。シラーは力強く、スパイシーな風味が特徴で、コート・ロティやエルミタージュといった有名なAOCがあります。白ワインでは、ヴィオニエ (Viognier) が高く評価されており、マルサンヌ (Marsanne) とルーサンヌ (Roussanne) もブレンドされます。
南部ローヌはなだらかな平地や丘陵地でのブドウ栽培が中心で、グルナッシュ (Grenache) を主体としたブレンドワインが多く生産されます。シラーやムールヴェードル (Mourvèdre) もブレンドに使用され、豊かな果実味と複雑な風味が特徴です。南部ローヌを代表するAOCとして、シャトーヌフ・デュ・パプ (Châteauneuf-du-Pape) があります。
ローヌ渓谷地方の広域AOCとして、コート・デュ・ローヌ (Côtes du Rhône) とコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ (Côtes du Rhône Villages) があり、地域全体で生産されるワインの品質と個性を保証しています。
北部ローヌの主要AOCには、コート・ロティ (Côte-Rôtie)、コンドリュー (Condrieu)、エルミタージュ (Hermitage) などがあり、それぞれが独自の特徴を持っています。南部ローヌの主要AOCには、グリニャン・レ・ザデマール (Grignan-les-Adhémar)、ジゴンダス (Gigondas)、ヴァントゥー (Ventoux) などがあり、幅広いスタイルのワインが生産されています。
ローヌ渓谷地方の理解は、ソムリエ試験において重要なポイントです。多様なブドウ品種と地域ごとの特徴を把握することで、ワインの知識を深め、試験対策に役立ててください。
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