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[2024年最新]ソムメモ【第1回 ワイン概論】ソムリエ完全解説

[2024年最新]ソムメモ【第1回 ワイン概論】ソムリエ完全解説

はじめに

ソムリエ、ワインエキスパートの資格を目指す皆さん、ワインをもっと知りたいと思うワインラバーの皆さん、本ページをご覧いただきありがとうございます。ワインスクールで現役のソムリエの育成にも携わっているソムリエのakihoと申します。

資格試験の合格は、単に知識を暗記するだけでなく、ワインに対する深い理解と情熱が求められます。本ブログシリーズの第1回目として、「ワイン概論」を取り上げ、ソムリエ試験における基礎知識から応用知識まで、幅広くカバーします。日本の酒税法におけるワインの定義を始点に、ワインの分類、製造法、主要成分、そしてその健康への影響に至るまで、詳細に解説していきます。このシリーズが、試験準備はもちろんのこと、ワインの魅力を再発見するきっかけとなることを願っています。

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酒税法における定義

酒類の4分類

ワインとは

ワインの特性

アルコール発酵式
ワイン中の主な成分
ワインの香り
ワインと健康
アルコール

ワインの分類

醸造法による分類
品質による分類

まとめとおさらい

酒税法における定義

日本においての酒税法の話からです。
日本では酒税法第2条で「酒類とはアルコール分が1度以上の飲料をいう」と定義されています。アルコール分1度以上を日本の酒税法ではお酒として扱うということです。

酒類の4分類

酒税法において、酒類は4つに分かれています。

これから主に扱っていくワインに関しては、この4分類の中の醸造酒類、果実原料に含まれます。どこにどんなお酒が分類されているか、確認してください。

発泡性酒類には、ビール、発泡酒、その他の発泡酒が分類されます。

醸造酒類の果実原料として、ワインの他にシードルがあります。
醸造酒類の穀物原料として、清酒=日本酒が入ります。

蒸留酒類の果実原料として、ブランデーがあります。
蒸留酒類の果実以外原料として、ウィスキー、スピリッツ(ウォッカ、ジン、ラム)、焼酎があります。

混成酒類には、合成みりん、甘味果実酒、リキュールなどがあります。

ワインとは

ワインはどんな飲み物で、どうやって広まっていったか、これを確認してください。ワインの原料となるブドウの特徴として、ブドウ自体が糖分を含んでるということが挙げられます。

これは、清酒やビールなどの穀物原料の酒類と異なり、 デンプンを麦芽や麹によって糖化する必要はないということです。

「ワインは糖化の必要がない」ここがポイントです。

ブドウ栽培とワイン飲用のヨーロッパの歴史として、ギリシャやローマの支配地域拡大とともに各地に広まり、やがてワインはキリスト教の儀式に不可欠な存在となりました。儀式に必要な為、修道院、僧院ではブドウ畑の開墾・ワイン造りが発展することとなったということです。

さらに、16〜18世期のヨーロッパ宮廷は美食と高品質のワインを求めるようになりました。こうして、銘醸畑の栽培手法の発展と品質の高いワイン造りが盛んになっていくというわけです。

ワインの特性

アルコール発酵式

ブドウに含まれる糖分をエサに酵母がアルコール発酵をして、エチルアルコールを生成→これがワインになります。

この式、非常に重要ですので、しっかり覚えてください。
この化学式はフランスの化学者ジョセフ ルイ ゲイ リュサック Joseph Louis Gay Lussac (1778-1850)が提唱したものによります。

フランスの生化学者ルイ パストゥール Louis Pasteur(1822-1895)はアルコール発酵が酵母の活動であると解明しました。

ジョセフ ゲイ リュサック氏と、ルイ パストゥール氏、どちらがどちらかごっちゃになるので、しっかりチェックしといて下さい。
化学式を提唱したのが、ジョセフ ルイ ゲイ リュサック氏、アルコール発酵が酵母の活動だと解明したのが、ルイ パストゥール氏です。

ワイン中の主な成分

ワイン中の主な成分を見てきましょう。1kgのブドウから600-800mlの果汁が搾汁されます。ワイン1本分(*巨峰2房くらい)

ワインは主に酸が中心の成分になります。ワイン中の主な有機酸としては

ブドウに由来する酸
酒 石 酸 (約1.5~約5.0g/l)
リンゴ 酸 (0~約5.0g/l)
クエン 酸 (0~約0.5g/l)

発酵によって生成される酸
コハク 酸 (約0.5~約1.5g/l)
乳 酸 (0.1~約3.0g/l)
酢 酸 (約0.3~約0.8g/l)

この二つに分類されます。試験では、どちらに分類されるかが問われるので、しっかりとチェックしてください。

この他にもワインに含まれる酸があります。
グルコン酸:ブドウにボトリティス・シネレア菌がついて貴腐化することで濃度が上がる有機酸

ガラクチュロン酸:ブドウのペクチン質が分解することでできる成分で、貴腐ワインに多く含まれ、熟成中に酸化し粘液酸となり、さらにカルシウム塩となって白色の粘液酸カルシウムとして析出することがあります。

また、酒石という成分もあります。酒石酸とカリウム(アルカリ金属)やカルシウム(アルカリ土類金属)などが結合した物質です。透明の瓶に入った白ワインでよく見かけることができるんですけれども、瓶の底の方にキラキラとしたガラスとみたいなものが見える時があるんですね。もちろんガラスではないです(笑)これが酒石という天然の成分です。人体への影響は全くないですが、消費者に異物と思われる可能性があるため、製造中に取り除くこともあります。が、まれにボトルの中に見られることがあります。

ワインの香り

ワインの香りはアロマといいます。アロマは第一アロマから第三アロマに分類されます。

第一アロマ=品種特性香
・ブドウの時点で香りがあるもの(マスカット)
・ブドウ中では前駆体、発酵過程で香りが発生(ソーヴィニョンブラン)

第2アロマ
・発酵工程で酵母や乳酸菌が生成
・Ex.酢酸イソアミル、ダイアセチル

第3アロマ=ブーケ
・熟成香
・タンクや樽での熟成、瓶熟成で生成する香り。

ワインと健康

まず、ワインにはさまざまな栄養素が含まれています。ミネラル分としては、カリウムやカルシウムが豊富に含まれています。また、pH値は一般的に2.9から3.8の酸性を示していますが、この数値は体内で代謝されるため、血液や体液には直接的な影響を与えません。

さらに、ワインには糖質、フェノール化合物、アミノ酸類、タンパク質、エステル類、テルペン類、ミネラル分など、健康維持に必要な成分が含まれています。

フランスでは、赤ワインを摂取する習慣があることから、「フレンチ・パラドックス」と呼ばれる現象があります。これは、肉食が一般的なフランスでも心疾患による死亡率が比較的低いというものです。

赤ワインに含まれるポリフェノールは、抗酸化能が高く、果皮や種に多く含まれています。多い品種としては、カベルネ・ソーヴィニョンネッビオーロがあります。中間の品種には、テンプラニーリョカベルネ・フランピノ・ノワールメルロが挙げられます。一方、低い品種にはガメイが含まれます。

さらに、レスベラトロールというポリフェノールの一種には、抗癌作用があるとアメリカ イリノイ大学 ジョン ペズット博士が発表しています。この成分は、果皮に多く含まれており、カビなどの外敵やストレスにさらされた際に、植物が自己防衛のために生成するファイトアレキシンの一種です。

アルコール

アルコールが体内で変換されるメカニズムについて説明します。

まず、体内ではアルコールがほとんどが肝臓で変換され、酢酸となって体外に排出されます。この変換のメカニズムは以下の通りです。

①アルコール脱水酢酵素により、アルコールが酸化され、アセトアルデヒトへと変換されます。

②次に、アルデヒト脱水素酵素により、アセトアルデヒトが酸化され、酢酸へと変換されます。

このようにして、アルコールは酢酸に変換されて排出されるのです。

また、一般的に「1ドリンク」とは、アルコール10gを含む量を指し、これはおおよそグラスワイン1杯に相当します。

適度な飲酒習慣を維持するための指標として、厚生労働省の指標では、1日に2ドリンクまでが適度な飲酒とされています。つまり、約グラスワイン2杯までが推奨されています。

ワインの分類

醸造法による分類

ワインはその醸造法によって以下の4つに分類することができます。

Still Wine(スティルワイン) 発泡性を持たないワインで、一般的にアルコール度数は9〜15度です。アルコール度数がこれ以上になると、ワイン酵母の限界に達することがあります。

Sparkling Wine(スパークリングワイン) 日本の酒税法では、20℃におけるガス圧が49Kpa(0.5気圧)以上の炭酸ガスを有する酒類がスパークリングワインと定義されます。一般に、スパークリングワインの名称で通用するのは3気圧以上のものです。それ以下のものは弱発泡性ワインと呼ばれます。各国では、それぞれの呼び名で呼ばれており、例えば、フランスではペティヤンドイツではパールヴァインイタリアではフリッツァンテなどがあります。

Fortified Wine(フォーティファイドワイン=酒精強化ワイン) 発酵中にアルコール分40〜80%程度のブランデーまたはアルコールを添加して発酵を止める方法です(この工程をフランス語でムタージュMutageと呼びます)。結果として、ワイン全体のアルコール度数が15〜22%程度になり、味に厚みが出て保存性も高まります。アルコールの添加により酵母は発酵を途中で止めるため、残糖の量は添加時期によって異なります。イギリスへの船でワインを運ぶ際に発展し、代表的なものとして、スペインのシェリーポルトガルのポートやマディライタリアのマルサラフランスのVDN(ヴァン ドゥー ナチュレル)などが挙げられます。VDNは、発酵中のワインにアルコールを添加して発酵を止めた甘口ワインを指し、VDL(ヴァン ド リキュール)は発酵していない果汁とアルコールをブレンドしたものを指します。代表的なVDLにはピノー デ シャラント(Pineau des Charentes)ラタフィア ド シャンパーニュ(Ratafia de Champagne)があります。

Flavored Wine(フレヴァードワイン) ワインに薬草、甘味料、エッセンスなどを加えて独特な風味を持たせたものを指します。イタリアのヴェルモットフランスのリレギリシャのレッティーナスペインのサングリアなどが代表的なフレヴァードワインです。

品質による分類

品質による分類としては大きく2つに分けることができます。

テーブルワイン(Table Wine): テーブルワインは、日常的な食事に合わせて気軽に楽しむためのワインです。一般的に、特定の地域や品種にこだわらず、手頃な価格で入手できるものが含まれます。テーブルワインは、豊かな果実味や飲みやすさを特徴としています。普段の食事やカジュアルな場面で気軽に楽しむことができます。

指定地域優良ワイン(Quality Wine Produced in Specified Regions): 指定地域優良ワインは、特定の地域で厳格な基準に基づいて生産された高品質のワインです。これらのワインは、その地域特有の土壌や気候条件によって生み出され、その地域の風土や伝統を反映しています。指定地域優良ワインは、その品質や信頼性において高い評価を受けており、しばしば高級なレストランや特別な機会で楽しまれます。

まとめとおさらい

本日の内容を簡単におさらいしましょう。

はじめに、日本の酒税法における酒類の定義を見てきました。酒類はアルコール分が1度以上の飲料を指します。また、酒類は発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類の4つに分類されます。

次に、ワインについて学びました。ワインは糖化の必要がないお酒であり、キリスト教の儀式に用いられていたことから発展し、16〜18世紀に美食と高品質のワインを求める文化が広まりました。

ワインの特性についても学びました。ワインはアルコール発酵によって生産され、主な成分には様々な酸が含まれています。また、香りにはアロマとブーケの2種類があります。

そして、ワインと健康についても触れました。ワインのpHは2.9〜3.8であり、赤ワインに含まれるポリフェノールレスベラトロールには健康に良い効果があると言われています。

さらに、アルコールの摂取量についても学びました。1ドリンクはアルコール10gを含む量であり、適度な飲酒習慣を維持するためには1日2ドリンクが推奨されています。

最後に、ワインの分類について触れました。醸造法による分類では、スティルワイン、スパークリングワイン、フォーティファイドワイン、フレヴァードワインの4つがあります。また、品質による分類では、日常消費用のテーブルワインと指定地域優良ワインの2つがあります。

次回はワイン概論②(後半)を行います。最後までお疲れ様でした。また次回の講義でお会いしましょう!

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